✴︎ SINGER 66とは
1910年代、SINGER社が「家庭に最高の縫製を届ける」ことを目指して開発したモデルが、SINGER 66です。鋳鉄製の重厚なボディと、精密に作られた内部構造により、安定した縫製を実現しました。

中でもこの“レッドアイ”は、赤と金を基調にした装飾が特徴的で、アメリカ本国でも高級機として知られていました。
その華やかさから、当時の広告にも頻繁に登場し、女性たちの憧れの存在だったといわれています。

100年という時間を経てもなお、その意匠は色褪せず、光を受けるたびに柔らかな艶を放ちます。
まるで、静かに眠っていた時が再び動き出したように__。

✴︎ レストアを始める前に
このSINGER 66は、長い年月を経て塗装の艶を失い、デカールもほとんど消えかけていました。
それでも、内部機構はしっかりとした骨格を保っており、再生の可能性を感じさせてくれる一台でした。
このミシンに再び命を吹き込むべく、オーバーホールから再塗装、デカール復元まで、丁寧な工程を重ねました。
次の章では、その過程と仕上がりについて少し詳しくご紹介します。
✴︎ SINGER 66 アンティークミシンのレストア工程
再び、美しく動くミシンへ。
長い眠りから目覚めたSINGER 66を、一つひとつの工程を重ねながら丁寧に蘇らせました。
分解・オーバーホール工程
全分解による内部清掃と調整を実施し、摩耗した部品は現行互換品に交換。
100年前の設計を活かしつつ、今なお実用可能な精度へと調整しています。
塗装とデカールの再生
古い塗装をすべて剥がし、下地から丁寧に整えるところからレストアは始まりました。
鋳鉄の質感を生かしながら、当時の色味に近い深いブラックで再塗装。
さらに、何層にもクリアコーティングを重ねることで、光を受けたときの艶と奥行きを取り戻しました。

装飾のデカールは当時の「レッドアイ」パターンを忠実に復元。
消えかけていた模様が息を吹き返し、黒いボディの上で再び輝きを放つ姿は、何度見ても胸が高鳴ります。

最終調整
内部のパーツも分解・オーバーホールし、古いグリスを落としたあと、
軸受けやギア、シャトルレースなどの摩耗をひとつずつ確認しながら注油・調整を行いました。
静かにペダルを踏むと、針が滑らかに上下し、100年前の機構とは思えないほど安定した動きを見せます。


今回ご紹介の Singer 66 アンティーク足踏みミシンは、現在販売中です。
✴︎ 豪華な三段引き出しとキャビネット
✴︎ 鉄脚の魅力とレストア工程
✴︎ 実用機としての性能
このSINGER 66は、水平釜仕様で現行シンガーミシンのボビン(上下に膨らみのあるタイプ)に対応しています。返し縫い機能はありませんが、布を回して縫う伝統的なスタイルで、しっかりとした縫製が可能です。
推奨針糸と試し縫い
🧵推奨針糸番手(参考)
・針:♯9〜♯16
・糸:90番〜20番
🧵試し縫い例
・シーチング:針HA×1 #11 × 糸60番
・ツイル:針HA×1DE #16 × 糸20番
・レザー:針HA×1LL #16 × 糸20番
・デニム:針HA×1DE #16 × 糸20番
布地に応じて針と糸を選べば、作品ごとに最適な仕上がりを楽しめます。

アンティークながら、実際に洋服づくりにも使える頼もしい一台です。

取扱説明書、そして基本操作を紹介した動画もご用意しています。
✴︎ SINGER 66が教えてくれること
レストアの過程でいつも感じるのは、
100年前の職人たちが、このミシンをどれほど丁寧に作っていたかということです。
精密な部品のかみ合わせ、スムーズな駆動、そして何より「美しくあること」へのこだわり。
SINGER 66は、単なる道具ではなく、
“暮らしの中にある芸術品”のような存在だったのだと思います。
現代の便利なミシンにはない、静かな重みと存在感。
光の加減や見る角度によって、黒い塗装の中に映り込む景色が変わる――
そんな時間を共有できることが、アンティークミシンのいちばんの魅力かもしれません。

今回ご紹介の Singer 66 アンティーク足踏みミシン は、現在販売中です。 詳細な整備内容や写真、価格については下記の販売ページにてご確認いただけます。 👉 販売ページはこちら
✴︎ おわりに
今回レストアを終えた1915年製 SINGER 66 “レッドアイ” は、当時の美しさと機能をできる限り忠実に取り戻した一台です。
深い艶をまとったボディと、静かに響く縫い音。
100年前の空気を纏いながら、今の暮らしの中でも確かな存在感を放っています。
このミシンが、また次の100年へと受け継がれていくことを願って。
商品の詳細もぜひご確認ください!
SINGER 66(1915年製)レッドアイ|アンティークミシン販売|整備・レストア済み丨1026

最後までご覧いただき、ありがとうございました🌿






